今から10年前、2014年2月、中学2年生だった僕は、放課後、同級生の女子SとY、男子Eと教室にいた。
Yが教室のドアのところをよじ登っていた。
僕はYの下からスカートの中を覗くような動作をした。
するとSが「北条何Yのスカート覗こうとしてんのよw」と言った。
Yが降りてきて「半ズボン履いてるよー」とスカートを広げながら言った。
僕は舌打ちした。
この時はその場にいた者だけの出来事で終わった。
僕がYのスカートを覗こうとしたり、舌打ちしたのは、その場のノリみたいなものであった。
また、Yは嫌がっている感じは全くなかった。
Yは学級代表で、しっかりした女子ではあったが、時々このように突拍子もないことをするやんちゃな部分はあった。
そういうところは僕は嫌いじゃなかったが。
ここからは、この件と無関係なことが続くが、お付き合い願いたい。
2014年5月28日、陸上競技大会が行われた。
僕は1500m走に出場した。
別のクラスのWという、僕と同じような少し変わった男子も1500mに出場することになっており、学年の男子たちは「北条とWのどっちが勝つんだろうw」などと言っていた。
僕は父と近所の河原や公園を走り練習した。
昨年還暦を迎えた父と現在23歳の僕の関係が必ずしも良好とは言えないが、このことはいい思い出として、今でも心に残っている。
2014年5月21日に発売された稲葉浩志の5th ALBUM「Singing Bird」を聞くと、この頃のことをはっきりと思い出せる。
陸上競技大会の本番の1500m走では、僕はケツから2番であり、最下位はWであった。
しかし、僕もWも他の出場者も皆、最後まで走り切った。
後日、父が撮影した1500m走のビデオを見た祖父(現在も存命)が感動していた。
一生懸命にやれば、人を感動させることができる。
といったように、陸上競技大会が無事に終了した2日後、充実感や達成感のようなものを持ち、次は修学旅行だと思っていた時、僕にとって悪い意味で忘れられない出来事が起きた。
2014年5月30日、3時間目の国語の授業で「中学の制服登校は、私服登校にすべきか、自分の考えを書く」ということをした。
僕はふざけて「私服ならセクシーさをアピールできる」と書き、隣の席の女子Aに見せました。
元ネタは、B'zのファンクラブの会報に、大賀さんが首から下げたストールを見た松本さんが「セクシーさをアピールしているの?」と言ったと書いてあったことである。
A「セクシーな服ってどんなのよw」
僕「ショートパンツとかタンクトップじゃねw」 みたいな会話をしていると、国語の先生(40代くらいの男性)が僕の回答を見て 「あーこれは言えないなー」と言った。
すると、突然斜め後ろにいたSが 「え、北条女子のスカート覗こうとしてんの? あ、そういえばYのスカート覗いたっけw」と言った。
さらに、Sの隣にいたEが「あーそんな事あったな、俺も現場にいたし」と言った。
Sが「あれいつだっけw」と便乗した。
国語の先生が「告発されましたけど、本当なんですか!?」と僕を問い詰めてきた。
Eが「本当のことだから言い返せない」と言った。
僕はパニックになり、その場に泣き崩れた。
それから国語の授業が終わるまで、ずっと泣いていた。
「これに懲りて、もうこういうことはしないだろう」と言うEの声が聞こえた。
国語の授業が終わり、僕は国語の先生に別室に呼ばれた。
僕は冒頭の約3ヶ月前の出来事をありのままに伝えた。
国語の先生は「ではSの言っていたことは事実なんですね?」と言った。
僕が「でも何ヶ月も前のことを今更言う必要ないじゃないですか?」と言うと、国語の先生は「じゃあSが悪いんですか!?」と言った。
4時間目は社会の授業だったが、何も覚えていない。
給食の時、クラスの男子1,2人に「北条って、変態だったんだ」みたいなことを言われたが、基本的に無視したと記憶している。
5時間目の体育の授業の更衣室で、隣のクラスのKが「なんで北条が事情聴取されてたの?」と言っている声が聞こえた。
Kは、僕が小学校の頃から、それなりに仲良かった男子である。
放課後Kを呼び、どういう話をしていたのか聞くと、Kによると以下の会話をしていたとの事であった。
K「4時間目に国語の先生が来るの遅かった理由は知ってる?」
僕のクラスの男子「北条が話聞かれてたから」
K「なんで北条が事情聴取されてたの?」
僕のクラスの男子「それ言ったら北条が嫌がるから」
僕はこれを聞いた時、僕のクラスの男子たちは、気遣ってくれてるんだと感動した。
僕はKに、何も知らなくていいと伝え、Kも了承してくれた。
夜、僕、S、Eが通っている塾があった。
僕はこの件が話題になるんじゃないかと不安であったが、何もなければいつも通りに過ごそうと思っていた。
しかし、授業が始まる前、別のクラスの男子R(陸上部)が僕の近くに来て、こう言った。
「北条、女子のスカートめくったって本当?」
すると、Sが駆け寄ってきて「なんでそんなところまで噂いってんの?」と言った。
Rによると、放課後の部活の更衣室で、僕のクラスの男子F(サッカー部)が「北条が女子のスカートを覗いたんだよ」と話しており、僕のクラスの男子たちも「そうそう!」と盛り上げていたらしい。
その声は、体育館で発表会の練習をしていた茶道部(Sが所属)にも聞こえていたという。
僕のクラスの男子たちは、僕を気遣ってくれていなかったのか?
僕の感動を返せ。
そして、SはRに3ヶ月前の出来事をベラベラと話し始め、さらに「うち北条を泣かせたからね」と自慢げに言っていた。
Eが「誰のせいでこうなったんだよ」と言うと、Sは「じゃあはやしだてたの誰よ」と言った。
この1週間後、2014年6月5日から8日の3泊4日の日程で修学旅行があり、移動中やホテルで話題にされるんじゃないかと僕は気が気ではなかった。
しかし、僕が知る限り、それはなかった。
実際、修学旅行で撮影された何枚かの写真は、たとえSやEが映っていても、僕は今でも大事に持っている。
だが、僕はSやRやEをはじめとした同級生らに「北条は、女子のスカート覗いたんだよな」みたいな事を中学卒業まで言われ続けた。
授業中にふざけた回答を書いた僕も十分悪いが、事実上の被害者であるYは嫌がっていないのに、何ヶ月も前の出来事を噂にするのどうなのと僕は思う。
Sは、僕が小5,6と中2,3の時に同じクラスで、小5の頃から僕はSはあまり好きではなかった。
2013年12月、中2の冬にSが僕の通っていた塾に入ってくると知った時は、激しく嫌だった。
しかし、その頃から普通に話すくらいの仲にはなった。
だが、2014年5月30日、この件が起き、僕はSが大嫌いになった。
Sとは、中学卒業後は2015年5月、高1の時に近所の神社で行われた祭で会ったのみであり、以降は全く会っていない。
R、E、A、Yは2020年1月の成人式で会ったのが最後である。
KとFは、2021年12月の小学校の同窓会で会った。
Wは、中学卒業後、一度も会っていない。
僕がこの件を今振り返ってみて、最も言いたいことは、B'zが2005年に発売した39枚目のシングル「OCEAN」に収録されている「Dear my lovely pain」という曲を聴きましょう、ということである。
この曲では「根も葉もない噂があっても壊れない絆や信頼関係が築けるといいね、でもそういったことは難しいね」ということが稲葉浩志流の言葉で歌われている。